ふらふらふら

大阪のオトコを好きになってしまった東京のオンナ

【SHOWROOM】あすかなPR配信マーケティングレポート #バーチャルジャニーズプロジェクト の可能性

全ては一つのツイートから始まった。


「伝える力」・・・?


実際のお肌も見せず、使用感も見せず、なんなら男子高校生の設定のバーチャルジャニーズ海道飛鳥・苺谷星空がどのように化粧品のプロモーションをするのだろうか…? 

 

海道飛鳥のキャラクターボイス(CV)を務める藤原丈一郎氏は「俺肌強いからハンドクリーム顔に塗っておけばええねん」「足りないものは大橋がもってるから借りたらええねん」というスキンケアへの無頓着発言を時たま発するので、ファン一同「じょうくん・・大丈夫か・・」と思っていたと思うし、一方、苺谷星空のCVを務める大橋和也氏は女子力の高さには定評(ピンクのアイシャドウを常用するなど可愛さへのこだわりが強い)があるものの独特の語彙と言い間違えを多発する方なので「KATEをカテと呼んでしまうのでは・・・」と、ファンは若干の不安を抱えたまま配信を視聴し始めたと思う。 

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しかし配信が始まるとPR施策として、マーケティング戦略として気づきや学びに溢れ、中の人の対応のプロさフェッショナルさ、SHOWROOMの戦略の爆イケ具合が溢れかえり分析ツイートが止まらなくなり、いよいよブログまで書いてしまうほどになってしまった。(あすかな最高)

 

大切なのは、このプロモーション施策は、【ファンがあすかなが好きだから買う】だけで説明できるほど単純な話じゃないってことです。

 

下記に記載していることは、バーチャルジャニーズプロジェクト(VJP)の一連の動きを見てきた広告代理店勤務のオタク一個人としての仮説及び考察であり、SHOWROOMから公式に発表されている見解ではありません。あくまでもオタクによるオタクのための分析であることをご了承いただいた上で読んでいただけると幸いです。

 

そもそもこのプロモーションは何をもって成功か?

このリンクから購入してね!っていうパターンだったらどれだけの人がこのプロモーション経由で商品を購入したか(コンバージョン(CV)したか)を数値として測ることもできるしそのユーザーの特徴だったりも分析することはできる、っていうのがWEBマーケティングで一般的にやっていること。だけど、今回の施策って「CV獲得目的」のプロモーションではないのでは?というのが私の仮説です(まだ情報がなさすぎて分からないけど)。最大の目的は「認知」と「拡散」ではないかと。ツイッターRTハッシュタグ、ファンの自然拡散は、1円もかけずにインプレッションを増やし商品自体の認知度を上げていくことができる。

 

まあそれだと普通にあるバズらせてPRさせるってのと何ら変わらないのだけど、じゃあ、あすかなとファン(姫・ピメ)の関係だからできること、って何だろう?

 

あすかなKATEプロモーションを「SIPS」に当てはめてみる 

マーケティング的にこの施策を分析するにあたり、「SIPS」のフレームワークに当てはめて、整理してみることにした。そうするとびっくり、めっちゃしっくりくる。

 

SIPS」とは?

「共感する(Sympathize)」「確認する(Identify)」「参加する(Participate)」「共有 & 拡散する(Share & Spread)」の頭文字をとった、企業のコミュニケーション・プランニングなどにおいて、ソーシャルメディアを積極的に利用している生活者を考える上でのひとつの概念。

つまり企業が何かを売ろうとする時、消費者がどのように反応してどうやって購買につながっていくか考える為にこのSIPSの4段階に仮定を当てはめてマーケティングしていく感じよね。で、あすかなに当てはめてみると下記のようになる。 

 

Sympathize(共感する)

「あすかながKATE!?」

「大好きなあすかなが初めてのアルバイト!」

「しかもあのKATE!?えー!どんなことするの!」

 

3ヶ月間自らの主演舞台の公演日を除きほとんど毎日配信を続けてきたあすかな(丈橋)。毎日続く松竹座公演の後にも、さいたまスーパーアリーナでのコンサートの後にも毎晩毎晩配信を続けてくれた。配信者とファンの毎日のコミュニケーションにより、「二人が何かする」ことに対する共感力はとても強くなっている。もうあすかな大好きだもん。(あすかな始まる前、どうやって夜を過ごしてたか忘れた)

 

Identify(確認する)

あすかながPRする商品ってこれ?ググる⇨シェアする

飛鳥くんと配信中に質疑応答する(下記に詳細)

実際にドラッグストアに行って手に取って見る

 

これは前田くんのツイートが投下された直後から始まっていた。ツイッター上でファンが商品のスクリーンショットを呟く、何ならその商品に限らずKATEのこのアイシャドウはあすかなカラーだ!など、他の商材にまで確認作業が伝播していく。

 

Participate (参加する)&share spread(共有拡散する)

そしてあすかなPRの最大の強み、武器、特徴は「参加型」であるということ。これまでも#あすかなアート #苺ちゃんのお悩み相談室 などハッシュタグをつけたツイートを募集し配信内で紹介することを続けてきたが、その3ヶ月間の成果がここで一気に発揮される。前田くんのツイートが投下されてから二人の配信が始まるまでの24時間で、誰に指示されたわけでもなく、「KATEとあすかな」のお絵かきをし、ツイートするファンたちが続出。

 

昨日の配信で具体的に提示された「参加」「共有」の方法含め、具体的には下記である。

 

  1. #あすかなアート で商品とあすかなの写った絵を作成ツイッターshare→配信で紹介される嬉しいからまたやる
  2. #海堂飛鳥キャッチコピー でキャッチコピーを募集→あすかなと一緒にプロモ施策を考える当事者意識が芽生える→shareする配信で紹介される嬉しいからまたやる
  3. 買う写真撮るあすかなというワードとともにシェアする(これも当たり前にやる)
  4. オタクはオタク同士でとにかく褒め合ういいねもするしRTもしまくる楽しくなってどんどんクリエイティビティを発揮するという好循環が生まれどんどん拡散される

 

何が言いたいかというとこのプロモーション自体がかなり理にかなったマーケティング施策になっているということです。私もここまでどうやってこのプロジェクトマネタイズすんねん?とかなり懐疑的に思ってましたが、このフレームにはめるともうこのプロジェクト自体が広告主(KATE)ニーズに対するソリューションになってしまってることがよーくわかります。

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苺ちゃんもうちわを持って応援

いいですかみなさんオタクのコミット力と購買力をなめてはいけません

配信中に咀嚼音コーナーという謎のコーナーで苺ちゃんと飛鳥くんが「芋けんぴ」を食べた次の日に、芋けんぴを買って写真とともにツイートするファンたちが続出するなんてことも起こりました…(苺ちゃんがあまりにも美味しそうに食べるもんだからさ…)

 

ただ、いわゆるインフルエンサーマーケとは大きく違う点が多々あります。特に化粧品PRという観点においては、女性向けの商品を全く知識のない男性がプロモすること、そしてバーチャルで一切人間の肌が見えないこと。普通に考えると致命的では?とも思えるこの状況。ではそんななかでどうやってSIPSの流れを生み出していくのか

 

もう一度言いますが大切なのは、これは【ファンがあすかなが好きだから買う】っていう単純な話じゃないってことです。このプロモーションとてもとても深く考えられてます。

 

「参加型」ってことだけじゃないんですよ、このプロモーションの凄さ。ちゃんと購買にも繋がるようなコンテンツもあるんです。

配信者が視聴者に商品の使い方や特徴を質問し、答えてもらうことで商材の理解を促進させる

「全然わからないからドラッグストアいってきてん」「膜をつくるってどういうこと?」「SPFってなに?」「化粧下地って何?」「どうやって使うん?」「野球に例えると何?」

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配信中の海堂飛鳥さん

これ、全部配信中に飛鳥くんが発言した言葉です。これに対して視聴者たちがコメントで使い方や化粧品に対する知識を飛鳥くんに教えてあげる。実はこれってただの会話じゃないんですよね。この会話を通して、視聴者が「能動的に商品に関する情報を理解する」ことにつながってるんです。(あ、私の仮説ではね)

 

この会話で、あ~この下地は日焼け止め効果もあって、膜を張る感じで使えるんだ~って無意識のうちに理解できる。そもそも理解してない商品を人は買わないから理解促進するのはとても大切。ファンは飛鳥くんと会話するのが楽しいし、そうしてるうちに自然と「どんな商品を彼らがプロモーションするのか」が理解できて全く嫌な気持ちにならない。

 

#pr インフルエンサーマーケでよくあるのが 定型文で「これ絶対嘘だろw」みたいな文章を投稿して商品説明をするスタイルで、これってもう今時の若者たちはこの戦法には慣れちゃってるし、まあ響かないむしろ拒絶反応すら起こしちゃう。一方SHOWROOMでのプロモーションは視聴者に嫌悪感を感じさせずに商品理解を促進させられる点、すごいよね~という感想。

 

なによりも「おしえてぇ」とまゆげさげていってるあしゅかぴが可愛すぎて母性が爆発するから藤原さんもすごい。かわいいよあしゅかぴ。全力保護!!!!

 

緊急時の対応

昨晩の苺谷星空さんの配信中、日本海側で大きな地震がありました。配信中にファンのコメントで地震に気づいた苺ちゃん、「大丈夫??配信切って安全にして!!」といいながらどうしようどうしようと一瞬焦る。けど直ぐに、いつも通りの配信を始める。

 

彼の配信で時間配分がミスってて配信終了時間を過ぎることはめちゃくちゃよくある(てか時間通りに終わったことある?)けれど今日は大事なKATEの件があるんだよえっもうあと1分じゃんえっここで占いコーナー?えっ、いちごちゃんKATEやらないの

結局彼は商材の絵を少しだけだして「続きはまたツイッターでやるわ~~ごめんごめぇん」と言って配信を終了した。

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苺ちゃんはいつも巨大な何かを持っている

これね、ただ苺ちゃんがいつものように時間配分をミスったわけではないと思うんですよ。ていうか、絶対そうだと思う。

震災が起こっている状況で、PRをするというのはクライアント(KATE)としてもブランドイメージを損ねる危険性がある、ということを判断し、伸ばしに伸ばしてPRの話はしないという判断に至ったものと推測します。

 

震度6地震が起きて、津波警報が出てる中で「この商品が〜」なんて説明されたら、被災地の方々はどう思うか、そこは絶対に避けないといけないことです。3.11の時も、各企業が広告を自粛し、ACのCMしか流れなくなったの、あの頃物心づいてた人はきっと覚えてるはず。

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みんな見覚えのあるこのCM

おそらく運営側の判断だったと思うけど、そんなことを一切感じさせず配信しきってしまう苺谷星空さん(大橋和也さん)のプロフェッショナルさをめちゃくちゃに感じたし、バーチャルジャニーズ只者ではないな、と思わされた次第です。生配信という状況において、ここまでのパフォーマンスを発揮できるのは、常にジャニーズジュニアとして培ってきた能力、二人の努力の証であり、誰にでもできることではないと思います。

その後のツイートがこちら。

 

プロモーションを請け負ったタレントとして、100点満点の対応をしていると思います。おそらく、運営側の指示があったとは思うけれど、二人の名前で発信することに意味があります。

 

と、まあつらつらこんなに長く書きましたが、私はまだ、①前田くんのツイート②二人の配信(合計1時間)③二人のツイートを見ただけなんですよね・・びっくり。たったこれだけの情報で、ここまで考えさせられました。

 

自分がマーケ、広告の業界にいるからこそ、このバーチャルジャニーズプロジェクトが開始された時、SHOWROOMとしてこれをどうマネタイズ(収益が出る仕組み)していくのか?配信者のファンに対する影響はどのように作用するのか、という観点でも眺めてきました。

 

毎日毎日幸せな気持ちにしてくれるこの配信、なんと無料なんですもん!!

他の配信者ではできる課金も、あすかなの配信ではできないんですもん!

じゃあどうやってマネタイズしていくんだろう、ってずーっと考えてた。

 

その答えの一つ目が、PR。これは本当に脱帽でした。自分の頭が凝り固まってるなぁと思わさせられたし、SHOWROOM前田社長って改めてやばいな・・・と思わさせられました。

「前田くん!君は天才だ!!」

 

そして、この革新的なプロジェクトに任命された自担(丈橋)をとても誇りに思うんです。今、彼らはシンデレラストーリーのど真ん中にいる、そんな二人をリアルタイムで眺めていられること、とても幸せです。

 

舞台やお稽古で配信がない夜は、自分があすかな始まる前はどうやって夜を過ごしていたのかわからなくなるくらい寂しくなります。

 

この、幸せな日々も、きっと永遠じゃない。って気づいてしまって寂しくなる。

 きっと他のピメたちも同じ気持ちだっていいねとRTで思った。

 

でも、この、ジャニーズの歴史としても、広告PR業界の歴史としても、革新的なプロジェクトに関われていること、二人が夢に向かって着実に歩みを進めていることを幸せに思って、二人を応援していきたい。

 

あすかな、最高!

 

この記事を読んでSHOWROOMマーケティング手法がきになった非ジャニオタのマーケターの皆さ〜〜ん!(いない)

次の配信は6月24日の月曜日だよ〜〜二人のツイッターも是非フォローして見てね〜〜めっちゃマーケ的発見があるよ〜〜〜!!

 

飛鳥ルーム:

星空ルーム:

 

【追記】SHOWROOMのマーケを分析したけど、配信をしている二人の言動、キャラクターに嘘はないと私は本当に思ってます。(前田さんもそんな二人を選んだと言ってくれていた)彼らは真摯に仕事に向き合い、もがきながら配信を続けて、ファンを増やして、ファンとの絆を深めてくれてる。当初、課金もできないし、このプロジェクトのゴールなに?丈橋忙しいのに大丈夫?と不安な声をあげていたピメも多かったけど、この3ヶ月、みんなが配信を楽しんで、たくさんアート描いて、たくさんシェアしたから、こうして二人の努力がお仕事として、ビジネスとして成り立ったんだと思う!私たちも、彼らに貢献できたんだなあって嬉しくてこんな記事を書きました。絵が描けなくても、自分なりの方法でたくさん応援しよう!二人の夢を叶えてあげるのは、私たちだと思う!そう信じよう!